みなさんは「アップサイクル」という言葉を知っていますか?
アップサイクルとは、
本来なら捨てられるはずだったものに新しい工夫やアイデアを加えて、
もっと価値のあるものに生まれ変わらせることです。
たとえば、いらなくなったデニムからかばんを作ったり、
使い終わったガラスびんをおしゃれな花びんにしたりすることもアップサイクルです。
アップサイクルは、ゴミを減らすだけでなく、
地域を元気にしたり、地球を守ったりする力をもっています。
ここでは、「地方創生」、「廃棄物活用」、「循環型経済」の
3つの観点から、その意味をお話します。
地方創生 ー 地元の宝を見つけて活かす
日本には、まだ知られていない宝物がたくさんあります。
たとえば、東京都の利島(としま)という小さな島では、
昔から「ヤブツバキ」という椿の木が育っています。
椿の実からとれる椿油は、髪や肌を美しくする自然の恵みです。
でも、油をしぼったあとの種は、長い間ほとんど使われずに捨てられていました。
もしこの種を活かして新しい製品を作れば、島の人たちの仕事が増えます。
お金が地元に回り、若い人が島に残って働くきっかけにもなります。
これが「地方創生」です。
都会に集中している仕事やお金の流れを、地方にも分けていくことで、
どこに住んでいても豊かに暮らせるようにする考え方です。
アップサイクルは、この地方創生にぴったりです。
地元の人たちが大事に育ててきた資源を、これまで以上に活かすことができるからです。
廃棄物活用 ー捨てるを減らす、環境を守る
次に、「廃棄物活用」について考えてみましょう。
食品工場や農業の現場では、
まだ使えるのに形が悪いから売れない野菜や、
加工の過程で出る皮や種など、
たくさんの「もったいない」が生まれます。
たとえば山形県の鶴岡市には、400年以上続く酒蔵があります。
お酒を作るときに出る「酒粕(さけかす)」は、昔は食べ物や漬物に使われていましたが、
今では大量に余ってしまい、その一部は捨てられています。
けれど酒粕には、美肌に良い栄養やうるおい成分がたっぷりふくまれています。
これを捨てずに化粧品の原料として使えば、ゴミを減らせるだけでなく、
新しい価値を生み出すことができます。
廃棄物を活用することは、環境を守るためにとても大切です。
ゴミを燃やすとCO2が出て温暖化が進みますし、
埋め立てると土地や海が汚れるおそれもあります。
アップサイクルは、こうした問題を減らし、地球にやさしい方法なのです。
循環型経済 ー つくる・使う・また生かす
3つめは「循環型経済(じゅんかんがたけいざい)」です。
これは、資源を一度きりで使い捨てにするのではなく、
何度も生かして使い続ける経済の仕組みのことです。
これまでの社会は「とる → 作る → 使う → 捨てる」という流れでした。
でもこのやり方では、資源はいつかなくなり、ゴミだけが増えてしまいます。
そこで新しく考えられたのが「循環型経済」です。
これは、
「とる → 作る → 使う → 集める → 再び作る」
というループを作ることで、資源を守りながら経済も回す仕組みです。
アップサイクルは、この循環型経済の中心的な役割をはたします。
廃棄物や使わなくなった物を、新しい製品や材料に変えることで、
資源のループを長く続けられるのです。

実際にどう変わるの?
アップサイクルをすると、こんな良いことがあります。

・ゴミが減る:焼却や埋め立てが減り、CO2や土地汚染が少なくなる。
・資源が守られる:新しく木や石油を使う量が減る。
・地域が元気になる:地元資源を活かして仕事や収入が増える。
・新しい産業が生まれる:廃棄物活用をもとにしたビジネスが広がる。
たとえば、利島の椿の種や鶴岡の酒粕をアップサイクルして作ったシャンプーや化粧品は、
ただの商品ではなく、環境と地域を守る「物語」を持った製品になります。
これを買う人は、その物語に共感して応援してくれるのです。
関連記事:シャンプーバーはなぜ環境にやさしいの?【5つの理由と、選び方】
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小さな選択が大きな未来を作る
アップサイクル原料を使うことは、ただエコだから、というだけではありません。
それは、地域を元気にし、地球を守り、資源を未来に残すための「三つの柱」を支える行動です。
・地方創生:地元の資源を活かし、仕事と人を地域に残す。
・廃棄物活用:まだ使えるものを捨てず、新しい命を吹き込む。
・循環型経済:資源を繰り返し使い、無駄をなくす。
この三つはバラバラではなく、つながっています。
廃棄物を活用することで循環が生まれ、その循環が地域の新しい産業や雇用を作ります。
そしてその地域の活力が、さらに環境を守る力になるのです。
あなたにもできること
小学生でもできるアップサイクルの第一歩は、「物を大切に使うこと」です。
ノートを最後まで使い切る、
服をお下がりとして誰かにあげる、
空きびんを花びんにする…
これも立派なアップサイクルです。
そして、お店で商品を選ぶとき、
「これはどんな材料からできているのかな?」と考えてみてください。
もしそれが地元の資源や廃棄物を活用して作られていたら、
その商品を選ぶことが未来への応援になります。
アップサイクルは、「捨てる」を「生かす」に変える魔法です。
その魔法を広げることで、私たちは地域を守り、地球を守り、未来を守ることができます。
あなたの手の中にある、その小さな選択が、100年後の地球を変えるのです。
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